忘れていたわけじゃない。自分が、世界を滅ぼす“オメガ”だということ。“オメガ”故に不死身の身体を、唯一愛した“あの人”に高校卒業の日に殺してもらうことが、生きる目的であること。そのために誰でも、騙して欺いて利用しようと決めたこと。でも。恋を知らない対天使兵器の少女と、一緒に過ごすうちに、忘れていたことを思い出してしまったんだ。“恋する”という感覚を。ねえ、サクヤ。僕らの“契約の恋”は世界を救う打算と欺瞞に満ちていて。そこには、真心があってはならない。だから、サクヤ。僕は、この気持ちを、殺す。これは世界を救うための恋物語。同時に、世界を滅ぼす想いの記録—。【「BOOK」データベースの商品解説】