美少年で何が悪い?
「芸術新潮」の編集部、専任の編集者は現在8人、そのうち男性はわずか2人です。
そんな男女比の中で特集の企画会議をしていれば、「美少年特集」案が出ないはずはありません(?)。この企画が通ってからというもの、画集をめくりネットを泳ぎ、美少年の図版に溺れる日々は幸せではあるものの、うまく着地できるのかしらと不安も半分。
いっぽう、西洋美術編のテキストをお願いした池上英洋先生と初めて打ち合わせをした際に先生がおっしゃった「以前、美少年をテーマにした単行本の仕事を依頼された時は心配したものの、調べて書いてゆくうち、実におもしろくなってきたんです」との言葉には、たいへん勇気づけられました。先生は共著『美少年美術史』(ちくま学芸文庫)の中で〈美少年の歴史のはじまりは、今日のように女性が美少年を愛でるという方向性のものではなく、男性同士の同性愛にほぼ限られており〉と書いていらっしゃいますが、古代ギリシャの世界ではそもそも同性愛は特殊なものでもなかったわけで……美少年、女性だけじゃなく男性が愛でてはいけないという決まりはありません。
美術館に足を運ぶのは圧倒的に女性が多数であること、またジャニーズの若者たちがこれだけ活躍していることからも、今の日本では女性の視線が新しい美の価値観を構築しつつあることは、疑いの余地がありません。ただそもそも、美しいと感じる対象は、男性も女性もそれほど違うとは思えないんだけど……なんてことを考えながら、最終的には思いっきり主観に任せて美少年を取りそろえてみました。どうぞこころゆくまでご堪能ください。そうそう、写真編ではついに「美はジェンダーを超えて」しまいますよ!